Gilberto Monteiro
基本的にテハーノの音楽はメジャー調。
マイナーな曲もあるのかなあと思っていろいろ聴いてみて、無いことはないけど、まず99%メジャーである。
そもそもパーティミュージックであり、お祭り音楽だからだろう。ほんとに明るい曲しかない。
いまでこそTex-Mex大好きな私だが、アコーディオン音楽に興味を持ち始めた30代初めの頃にヒメネスを聴いた時には明るすぎてピンと来なかったものだ。
若さの持つイタさだと思うのだが(アコーディオン音楽を好むタイプは特に)音楽にある種の妖しさとか退廃とか翳りとかエキセントリックなものを求めてしまうところがあるのだよね。それは要するに、自分の中にそういう部分が無いからなのですが・・・。
そんなイタイ若さがだんだん薄れてきて、なおかつ自分の周りに自力ではどうにもならないめんどくさいことが増えるにつれて、「もお、音楽聴いてる時くらいは気も頭も使いたくないわい!」って感じになって、今のTex-Mex好きの私がいるのであった。
そんなわけで、ダイアトニックアコは全般にマイナー調の曲はないのであろうと思っていたのですが、いやいやどうして、ありました、ブラジルに。
ガウチョ帽に赤いスカーフ、ガウチョパンツのガウチョスタイルが印象的な奏者はGilberto Monteiro。
ブラジルの奏者らしいが、この「Prelúdio pra um Beija Flor」という曲がなんとも言えず物悲しい。
Tex-Mexタイプのダイアトニックとはボタン配列が違うけど、このタイプはHohnerのGalaadというモデルのと似ていると思われる。おそらく蛇腹側のボタン6個に、ピアノでいうところの黒鍵の音が集約されているのだろう。
それにしても蛇腹の使い方もずいぶん違う。Tex-Mexはそんなに大きく開かず、こまめにエア抜きして閉じながら演奏するのだが、ここではめいっぱい大きく開いて、開いた蛇腹に膝を使ってビブラートをかけたりする。独特だな。
もしかしてバンドネオンの奏法とちょっと似てるか?
下の動画だともっとわかりやすい。
アコーディオンも変わって2列ダイアトニック。これだけのボタンでこれほどの表現力とがあるとはなあ・・・。蛇腹の使い方がすごいんだよね。
このGilberto Monteiroについては調べてみたけどポルトガル語の情報しか出てこなくて、あまり詳しいことがわからない。
Facebookは発見されたけど、ほとんど何も書いてない。
ファンクラブのFacebookもあり、こちらはある程度記事がある。
Gilberto MonteironoファンクラブFacebook
ブラジルにはアコーディオンをテーマにしたドキュメンタリーのTVシリーズ「サンタルジアの奇蹟」があり、その中の一本で彼を取り上げている。
冒頭のシーンのBGMが一本目の動画と同じ「Prelúdio pra um Beija Flor」なのだけど、平原を駆けてくる牛の群れや馬に乗ってそれを追うガウチョたちの姿があまりにもはまっていて、感動してしまった。まるで映画みたい!
音楽と風土って切り離せないものなのだなあ。
いや、切り離してそれぞれ楽しむことは可能だけど、セットになったときに発するパワーと説得力は格別にすばらしい。