Dmitriy Khramkov(Дмитрий Храмков)

bayanmixの動画を頻繁に観るようになって以来、私はどっちかというとセルゲイ派になってしまったが、やはり第一印象でインパクトを受けるのは彼、Дмитрий Храмков、ドミトリー・フラムコフ(クラムコフとも読むらしい。)だろう。bayanmixの、主に向かって右側で演奏している青年である。

そのルックスたるや、アコーディオンならずとも、バヤンならずとも、そもそもミュージシャンのカラダじゃない。格闘家のような二の腕、そこにタトゥー。鍛え上げられた分厚い体に、軍人風短髪(いわゆるGIカットというヤツなのだろうが、ロシア人なので違うか・・・。)

そのテイで、こーいう人畜無害なスタンダード曲を弾くもんだから・・・。まあ、ある意味、「理想的ロシア青年」のイメージを体現しているのかもしれない

(余談だが、ソ連時代は実はタンゴやジャズなどは敵性音楽として禁制品。それに対してバヤンやガルモーニなどは国民的な楽器として国家に推奨されていたモノ。で、打ち込みの4つ打ちテクノはソ連が崩壊した頃に世界的に流行っていた音楽様式、と考えていくと、bayanmixという存在にも、ロシアのという国の複雑さと底知れなさを感じざるを得ない。)

 

それにしても、そのガタイに似合わぬ、可愛らしい笑顔。

一度観たら忘れないキャラの濃さ。

 

そんな彼だが、セルゲイに比べてネット上に出てくる情報が少ない。

1979年生まれらしいことくらいはわかったけど。

あまりネットもやってないらしく、一応Facebookもやっているようだが、ぜんぜん更新してないし・・・。(あ、もしかして友人限定公開で書いてるのかな。)

それと、演奏以外のとき、テレビのトークショーなんかに出るときのファッションも、毎回違う服、ときにはメガネまでも違うセルゲイに対して、彼の私服はいつも同じような黒Tシャツとジーンズ。オシャレに無頓着なのかな・・・と思ったが、よく見ると毎回デティールが違うものなので、単に自分のスタイルが確立しているということかもしれない。

 

さて、bayanmixだけ見ているとイロモノみたいですが、演奏家としてもレベルもかなり高いということを証明するために、下の動画を貼っておきまする。このとき22歳くらいだと思われる。

私、うたた寝しながらこの演奏を聴いてたら、オーケストラの夢を観た。

ひとりで弾いてるとは思えない音の数と音色の種類。

そして、体と楽器が一体化したような無駄のない動き。すべてが気持ちよくピタリピタリとキマる。以前これを見た知人が「無駄が無さ過ぎて武闘家みたいですね。」ってコメントしてたが、言い得て妙。

この二人の関係は実はかなり長い。

以下はドミトリー16歳、セルゲイ22歳のときのデュオの映像。(1995年頃ですね。)

このときは位置が左右逆なので左がドミトリー。さすがに少年時代は華奢だったのだな。

若い時から、相手の表情や全体の空気を観ながら演奏者を引き上げ、その力を引き出すプロデューサー気質のセルゲイと、セルゲイに引き出されてどんどん力を出していくプレイヤー気質のドミトリーという感じが、今の二人の関係性と変わらないのが面白い。

セルゲイはお客さんや共演者の反応を見て臨機応変に演奏を変えていくタイプ。それに対し、ドミトリーは積み上げた技術で見せ場を作るタイプ。細かく指が動く華やかなところは主にドミトリー担当。セルゲイは盛り上げと演奏の土台作りに徹しつつ、引き受けるべきポイントはガッチリ引き受けて前に出る。好対照のいいコンビネーションなのである。

 

さて、この動画の最初のあたりで、ドミトリーが演奏前に運指を確かめるように右手の指をパタパタしているが、この前彼らのDVDを観てたら、本番前のバックステージで同じことをしていた。16歳の頃からそうだったのかあーと思うとなんか可愛い。